banner image
Japanese Transfer Pricing Alert

国外関連取引で生じる損失について

関連会社間取引において特定の子会社が継続的に損失を計上する場合、独立企業間価格の原則に違反していないか、注意を払う必要があります。

通常、独立した企業は一時的に事業損失が発生する取引を許容したとしても、無制限に続けることはありません。

関連会社間取引において、特定の企業で事業損失が継続する場合、価格算定が「独立企業間価格の原則」から外れ税務コンプライアンス違反している可能性があります。

国税庁(BIR)は、損失が合理的な範囲を超えて持続する場合、または他の企業と比較して損失期間が長期化している場合、移転価格調査行う可能性があります。

Key Point

経済的実態:損失が発生する取引がすべて税務コンプライアンス違反とみなされるわけではありません。しかし、経済的実態を反映した「独立企業間価格の原則」に基づく取引価格設定が求められます。

一貫した処理:企業が、一定のリスクを負ったうえで取引を行う場合は、取引が成就すれば利益が計上され、リスクが実現した場合当然その損失が計上されることも想定されます。

比較分析:関係会社間取引の取引価格が「独立企業の原則」と一致しているかどうかを判断するため、他企業との類似取引と比較分析が求められます。この分析には、関係する当事者の機能、資産、および取引のリスクの検討が含まれます。

意図的な租税回避:ガイドラインは、企業グループ全体の税負担を最小限に抑えることを目的に、高税率の国から低税率の国に意図的な課税回避が行われないように強く求めています。関連会社取引から生じる損失は、実際の経済活動およびリスクを反映した独立企業間価格によって生じる損失であることが求められます。

文書化:多国籍企業は、移転価格ポリシーおよび取引から生じる損失をサポートするため、より詳細な文書を準備する必要があります。取引から生じる損失の合理性について文書化し、独立企業間価格の原則に準拠していることを示す必要があります。

(OECD移転価格ガイドライン第I章[D.3.]、損失、および国税庁指令No. 1-2019第B.3[b.5])

移転価格リスクを管理するために、関連会社との移転価格の取り決めを見直し、税務コンプライアンスの順守を確保してください。
損失を合理的な論拠で説明するために、包括的な移転価格文書化が求められます。

ご質問やご不明な点がございましたら、Japan.Desk@ph.gt.com までお問い合わせください。

Copy text of article